ノマド国家イスラエル第二弾 ハイテク農業が強い訳


 イスラエルのGDPを支えるTOP3は、IT、農業、観光業だ。とくにITと農業を取り合わせて、IT農業が世界的に有名である。第二弾は、イスラエルのハイテク技術を農業に取り込んで発展してきている会社、TAPROJECTを紹介する。彼らは農業技術を世界に発信しながら各地でプロジェクトを起こし、世界を移動する会社だ。


イスラエル農業の強さ

イスラエル農業について、田村耕太郎氏が分かり易く説明している。(以下参照。)

『国土の60%が乾燥地に覆われ、雨季は11月から4月までの間しかなく降雨量は北部で平均700ミリ、南部では50ミリ以下である。もともと、”アラブ人が農業できないと捨てた”とまで言われるほど過酷な土地に建国されたのがイスラエルなのだ。
この過酷な条件食料自給率は93%以上。イスラエルの農業人口8万人。一方日本の農業人口400万人。現在農業輸出高21億ドルでほぼ同じ。イスラエルが50倍の効率を持っているともいえる。』

世界最強の農業立国イスラエルに学べ!

 

超ハイテク農業ビジネスを手がけている、TAPROJECT

 イスラエルの大都市、テルアビブに本拠地を構えるハイテク農業ビジネスのTAPROJECT。彼らは、2つのビジネススキームを持っている。

 一つはハイテクノロジーを自家農場での生産に取り入れて、生産性が高く、農薬を使わない安全で美味しい、野菜とマイクロリーブ、そしてローズの栽培と販売すること。

 もう一つがこの会社のメインビジネスとなるのだが、自分達の自家農場にて開発してきたテクノロジーを他の国に輸出し、ローカライズすること。様々な国でプロジェクトのように手がけており、いま迄にメキシコ、グアテマラ、イタリア、タイ、そして今トルコで取り組んでいる。


 

世界を動き周るビジネスモデル

 TAPROJECTは、50年間の失敗と成功で長年培ってきた農業テクノロジーを世界に向けて発信している。そのメンバーは僅か10名。今でも自家農場では、常に試行錯誤を繰り返しつつテクノロジーを発展させている。例えば、レタスの根っこに直接決まった量の水を循環させることによって、スプリンクラーのように水が空気中に分散して無駄になることなく、大幅に水の節約をできる。更に水に決められた栄養分を入れているため、土いらずで虫もつかず農薬を一切使う必要が無い。

 こういった技術を国々に対してローカライズしていくわけだ。社内は10名と少ないが、アジア人、アラブ人、と国際色に富んでいる。イスラエルは敵が多いので海外でビジネス展開する時に、国によっては、イスラエル以外の他国籍の人の方がやり易いからだ。現地にチームメンバーを2人から3人送り込んで、技術をその国の環境に合わせてローカライズして、農業生産性を上げている。このように世界を移動しながらプロジェクトを手がけている企業は、少数精鋭で多国籍の方がやりやすい。少数精鋭なので、世界の食料危機を彼らの技術で救うという会社のビジョンの共有が浸透しやすい。そして多国籍のため、国ごとの争いへのリスクヘッジになるのだ。

 

厳しい環境から生まれたテクノロジー

 イスラエルには昔から農業共同体から端を発したKIBBUTZがあるので、そのコミュニティの中で生まれてきた技術が相まって、非常に農業が強いと言われる。だが、イスラエルの数あるイノベーションの一番の理由は、周りが敵に囲まれているから、である。特に農業に関して言えば、周辺諸国に頼る事が出来ないので、安全保障上、自分達で作らなければならない。だから、イスラエルの『夏は熱く、冬は寒い。水が無い上にユダヤ人は農業に従事したく無い。』という農業に取って厳しい環境下の元で世界一の農業テクノロジーが発展した。灌漑設備、水の管理、生産性で言えば間違いなく世界一である。これから水の需要は間違いなく大きくなる中で、彼らの技術は世界規模で、非常に重宝されるだろう。

ピンチをチャンスに変える、とはまさにこういうことだ。我々日本にとっても、今あるピンチは大きなチャンスでもあるのだ。

 

 

成瀬

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