BRICSの一員 南アフリカの可能性

BRICSの一員、南アフリカ

 BRICsの一員になっている南アフリカ。実際に訪れるまでは、なぜこの国が他の大国と同じようにBRICsに分類されているのかが分からなかった。南アフリカはアフリカ大陸最大の先進国で、アフリカ大陸に進出する大手企業の一つの入り口となっている。まずは南アフリカを拠点にし、そこからアフリカ大陸に進出していく企業が多いのだ。アフリカ大陸は人口成長を考えても、これから非常に大きなマーケットになるから、南アフリカはBRICsの一員となったのだろう。ここは外国企業のHUBになっている場所なのだ。

 さて、今回は南アフリカのケープタウンから少し離れたところにあるステレンブッシュを紹介したい。僕が今まで世界を回ってきた中で一番好きな町だ。この町は学生の町として有名で、南アフリカで一番の大学、ステレンブッシュ大学がある。そしてここは、ワインランドとして非常に有名な場所だ。僕がステレンブッシュに伺った一番の理由はこのワインにある。ワイナリーとホテルが融合しているワイナリーホテルがあるのだ。


ワイナリーホテル

 ワイナリーホテルは、『別世界の体験を売る』ビジネスだ。素晴らしい景色の中で、美味しいワインを飲み、食事に舌鼓を打ちながら、ゆっくりとした時間を楽しむ。ワインを飲んだら車では帰れないから、本来ならワイナリーには宿泊施設があるべきなのだ。

 宿泊したのはWEBERSBURG。ここのビジネスモデルが面白かったのは、彼らは宿泊施設からは儲けていない点である。ワインから儲けているわけでもなかった。彼らはイベントで金を稼いでいた。一番大きな収入源は結婚式だ。毎週末に1、2回式を挙げており、6月一杯まで予約が埋まる程の大盛況らしい。一回の式で$50,000ー60,000程かかるが、ヨーロッパ各地から式を挙げる為に親戚一同、南アフリカまでくるのだ。そしてまるで別世界のような美しい景色の中で式を挙げ、人とは違った結婚式に皆満足して帰っていく。ここに、このワイナリーホテルビジネスの価値があった。非常に参考にしたいビジネスだ。


南アフリカの進む道

 ワイナリーホテルも含め、総じて南アフリカはチャンスの宝庫だ。経済成長率もマーケットも今の段階で大きくはないけれど、南アフリカはアフリカ大陸へ進出する企業の入り口となる場所である。南アフリカに来ることは、アフリカ大陸の人々の一つのプレステージとされていることもあるので、これから拡大するニューリッチ層の格好のたまり場になる。だから観光、特にウェディングはまだまだ伸びるに違いない。

 この国の課題を挙げるとするならば、アフリカ大陸に進出する外国人起業家たちの入り口にはなり得ているが、アフリカ大陸内にいる起業家同士のハブにはまだなれていないところだろう。ここがこれからの一番の鍵になるに違いない。この機能を果たせれば、南アフリカ(ケープタウン)が世界の中で大きな中心都市になる日も近いだろう。

 

 

静寂なる地への開拓

 人々がより都心部に集まってきてフラット化が進み、海外の出来事が当たり前のように自分の毎日に影響する時代だ。そんな忙しい時代の中、日常から離れた別世界で、静けさに浸ることのできる『静寂なる地』への需要がもの凄い勢いで伸びていくと思っている。エジプトにある砂漠ツアーもそうだが、日常と乖離した場所への観光は大きなチャンスを秘めているのではないか。そんな中、特に中国は南アフリカに早くから投資し一歩先を行っている。観光業においては特に、未来を見据えて需要を捉えるスピード感が大事になってくるに違いない。

 

 

成瀬勇輝

文章校正:増田祐加

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